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本名:山下裕美
出身:大阪府堺市 生息:東京都渋谷区 本職:広告意匠士 どさんぴんリンク DOSANPIN GUITAR HOLIC日本フォスター・プラン アムネスティ 国境なき医師団 日本赤十字 日本ユニセフ協会 グリーンピース・ジャパン グローバル・ヴィレッジ 以前の記事
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2009年 11月 12日
そう、それは紛れもなくあの日のあいつだよ!! 久しぶりの再会に思わずデレデレと近寄り、はいポーズ。(写真) 東京に住み始めて23年ほどになるだろうか。 育ててくれた大阪での25年間をもうすぐ上回ろうとしている。 上京したての頃、当時住んでいた江古田の理髪店で、 僕の関西弁に気付いた理容師さんから「兄さんはもう東京は長いのかい?」と尋ねられ、 「いえ、つい先日・・・」などと答えると、 「俺の弟なんてついこんまえ田舎に帰っちゃってさ!結局三年と持たなかったね。」 などと自分のことも織り交ぜながら、仕事を続けていく辛さと大切さを話してくれた。 僕は鏡越しで会話をするのが苦手なものだから、 ときおり相づちを打つぐらいで一方的に話を聞いていた。 石の上にも三年というけれど、 あの時は三年がどこまでも途方もなく感じたものだ。 当時は来る日も来る日も仕事の毎日。 暇を見つけて東京圏内を見聞する程の余裕などまったくなかった。 外出といえば練馬の自宅から銀座の会社まで地下の中をモグラのように往復するのがもっぱらで、 太陽を直接浴びない生活に、朝と夜の区別が分からなくなり、 肉体的にも精神的にも悲鳴を上げていた。 そんなある日、仕事で自由が丘付近に住んでいる絵本作家に会うことになり、 初めて足を踏み入れた東横線渋谷駅のホーム。 ちょっとした旅行気分だ。 そこで他とは少し、いやまったく毛色の違う物体を見つけた。 それがこの電車だった。 良いんだか悪いんだか判断しかねるオモチャのようなカラーリングのこの車両は、 あの日、確か一番右側のホームで次々発をいいことにくつろいでいた。 派手好き関西でも見たことのない原色系配列を身にまとったその姿のイメージは、 あきらかに戯けた表情の遊具そのもので、 線路の先には本当にまぶしいぐらいの光が差し込んでいて、 まるで今の病んだ状況から何処かにある「愉快な場所」まで乗っけてってくれそうな気がした。 心の中では「もう仕事なんか辞めて愉快な場所へふらっと行っちゃう?」と ヘラヘラ想いながらしばらく眺めていた事をよく覚えている。 そして後ろ髪を引かれながらも僕は結局アルミ色の先発電車に乗り込んだ。 思い起こせばその日から2年程で、東横沿線に住まうことになるのだが、 不思議とこの楽しげな車両に出くわす事はもう二度となく、 あたりまえのようにそんな記憶の断片も隅に追いやり、 今回、再び目にするまで当然思い起こすこともない。 「元気かい?」と車両の中を覗けば、何台もの大きな計器を積み込み、 技術者と思われる技師が数名乗り込んでいるところを見ると、 ヤツは既に営業用としての現役を引退し、検測車両として働いている事が伺えた。 程なくして僕勝手な感動の再会は、発車の合図と共にあっけなく幕を閉じる。 三年という時間が途方もなく感じていた23年前。 カビ臭かった、月3万8千円のアパート。 かき集めた百円玉5枚を握りしめ行った江古田商店街の定食屋。 アパートの電気やガスを止められ、徹夜と称してよく泊まった銀座のプロダクション。 不安の固まりのような僕の髪にハサミを入れながら 何気なく「これから頑張れよ」と励ましてくれた理容師のあんちゃん。 昨日この車両のおかげで当時の事を走馬燈のように思い出すとは思いもよらなかった。 もしもあの日、迷わずこの電車に乗っていたら? いまの僕はいまの僕なのだろうか? ひょとすると違う僕になっていたのかもしれないね。 そして全く違う場所に立っているのかもしれない。 例えばあの日にふと感じた「愉快な場所」なんてどうだろう? 人の運命なんてそんなもんだと思う。 違うかしらん?
by do-san-pin
| 2009-11-12 04:15
| どさんぴんなざれごと
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