中国の杭州で不動産が3割値崩れし、
事前に高い価格で購入していた所有者は「買った住居を買い取れ」と、
販売センターで騒ぎ立てているというニュースを目にした。
このニュースで思い出した事がある。
日本のバブルがはじけ不動産が軒並み暴落した頃、
ボクは会社で某大手不動産の広告を制作していた。
ある郊外の高級マンションの売出広告に携わり、
バブリーな販売告知キャンペーンをディレクションした事がある。
最多販売価格帯が8千万から1億超。
世がバブルでも郊外物件としてはかなり強気な価格帯だ。
心配した通り完成後も半分以上が売れ残ってしまった。
興味深いのはその後のことで、
売れないと見越したデベロッパーは程なくして3〜4割安い値段に変更。
既に入居し管理組合を運営していた居住者達がこれに反発。
横断幕を掲げ購入額との差額の返還を訴えた。
ボクはこの騒動を横目で見ながら購入者達の浅ましさに呆れたものだ。
たとえば8千万の物件を購入したとして、
同じ条件の物件が5〜6千万になった時にその差額を損したと思う浅ましさ。
それを正当な権利だと思ってしまうリテラシーの欠如。
もちろん事実として「損」といえば損したと言えるのだけど、
それだけの価値を認め購入の決断をした自身を自省するべきで、
住民が一団となり新規購入者を阻む行動は、
バブルに踊らされた地上げ屋やデベロッパーにも劣る。
その後、担当するクライアントが変わったので、
どうなったのか知ったこっちゃないが、
1億円の物件から汚い文字で販売会社を糾弾する横断幕の風景は、
ボクではなくても自分の首を絞めている感を持つだろう。
彼らは好みのマンションを購入したのではなく、
8千万や1億といった「勝ち組」を手に入れようとしたに過ぎない。
ユーザーがもっと賢くなれば、
日本の住環境はもっと良くなる。