ところで、私は商品を値切った覚えがない。言い切ってしまうほどの自信はないが覚えがないのだからそうなのだろうと思う。関西人らしくないと言えば、まったくその通りだろう。若い頃はいわゆる人見知りということで、他人と交渉するのが苦手ぐらいにしか思っていなかった。量販店でプレーヤーを買おうとした時も、値札の前で悩んでいると、販売員が勝手にドンドン安くしてくれた。だからわざわざ交渉することなく、「じゃ、それで。。。」となる。逆にそんなに下げて大丈夫なの?と心配した程だ。
さて、時が経った今は交渉上手になったかは別にして値段には敏感になった。しかし物の価値ともなると、昔の頃のあの感覚はまったく変わらない。言っておくが、とっても良い客でしょ?・・・なんていった自慢話をしたい訳じゃあない。はっきりいってそんな調子だからチリツモに考えると、値引き上手なヤツと比べれば無駄にお金を失ってきた、とも言えるかもしれない。しかしだ、これから先も値切るつもりなどはさらさらない。不思議な理屈に感じるかも知れないが、未だに「安い」という感覚に価値を見出せない。もっと言えば安くなったから何か?といった感じだ。欲しい物は買い、要らない物は要らない。そして欲しい物は値切ってまで欲しいとは思わない。たとえどこかの店で安売りしていたとしても損をしたとは思わないし、要らない物でも今のうちが安いからと言って得したとは到底思えない。つまり、「お買い得」という言葉が理解できない。しかし、ふと世間を見回すと、この「安い」「お得」という価値観が大手を振り、ともすれば優先順位の一番に掲げられている。みんな何をそんなに得したいのだろう?