昔々、日曜日21時からの娯楽といえば淀川長治さんが解説してくれる
「日曜洋画劇場」が我が家の定番だった。
なので子供の頃の方が確実に今よりも多くの映画を観ていた事になる。
今でも心に残る忘れられない映画は決まってその頃に出会った映画ばかり。
その中でも「冒険者たち」は特に好きな映画で、
“レティシア”が住みたいと言っていた海上砦(写真)は、
数十年経った今でも夢にしばしば出てくる。
死ぬまでになんとか一度は足を踏み入れてみたい場所だ。
ところで、“レティシア”というのは劇中の登場人物で、
ジョアンナ・シムカス演じる可憐な女性・・・。
いわゆる僕の憧れの女性像だ。
マヌー(アラン・ドロン)とローラン(リノ・ヴァンチュラ)の二人と出会い、
それぞれ夢破れた男女三人が逃避行的に宝探しの冒険へと向かう〜
まぁストーリーの中身は割愛するとして、何がいいのかというとこの男女三人の距離感がたまらなくよい。
僕がよく女性から反感を買う「男と女の友情は存在しない」という感覚を、
この映画を観て知らず知らずの内に自覚したような気がする。
つまり「強い絆の友達にはなれない」というのは、なにもSEXを臭わせている意味じゃなくて、
一見平和的に見えるその均衡は「性」の前ではまったく演じきるしかないということ。
そしてもし、純粋に「友達」と言う関係ならそれは単にお互いがお互いに魅力を感じてないだけのこと。
僕ならそんな関係はさっさとお開きにしたいのでもう二度と会うこともないだろう。
だから少しでも関係を繋ぎ止めておきたい異性なら「友情」ではなくて「愛情」でしかない。
男と女の愛情の結びつきは結局「儚い絆」なんだよね。
この埋めようにも埋まらない「せつない想い」が美しいってことをこの映画から教わった。
だから男と女はお互いに創造しながら愉快に暮らしていけるのだ。
さて、この心象風景を揺さぶる映画音楽。
そしてリノ・ヴァンチュラ・・・。
トレイラーを見るだけで鳥肌が小躍りしてしまう。
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男と女の友情はあるとおっしゃる紳士淑女のみなさん・・・。
雨で閉じこもり気味なこの時期に「冒険者たち」お勧めしますよ。
たまらなくせつなくなっても・・・責任はとれませんが。